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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第15章 命の・・・重さ

『綺麗事でも…偽善でも…世間体でも

なんでもない・・・

なんだったらいいんだよ?

どんな理由があれば納得すんだよ?』







『・・・』







マリアが…体裁とか、離婚の心配…
自分の心配とか
本当にそれだけなら

俺は・・・きっとこんなことは
言わなかっただろうよ?








『〃ソイツ〃が…大事だから

それじゃ…ダメなのかよ?』









『だから・・・この子は・・・』









『あの人の子だから…産みたくない?

あの人の子だから・・・憎いのか?』









『・・・』








『まだ…生まれてもねぇ…姿も見えねぇ

どんな顔してんのか、何考えてんのか

どんな性格してんのかも

声も……男か女かもわかんねぇ


そんな〃ソイツ〃がさ・・・

お前…大事で大事でしょうがねぇんだろ?』










『ゆぅ…ちゃ・・・もぉ、やめてぇ…』










『〃ソイツ〃のために・・・

知らねえうちに、ソイツの毒になるモンは
必死に避けてさ

そうやって…守ってんだろ?ソイツを』









『・・・~~っ』



マリアは下を向いて顔を隠した。






『父親が誰だから…なんて
ホントに思ってんのか?

あの人の子だから…なんて
ホントにそれ・・・本心かよ?

そんなもんを、なんで必死に
守ろうとしてんだよ?』






『~~っ・・・~~っ』














『マリアの・・・そんなに

大事もんならさ・・・一緒に

守ってやったって、いいじゃねぇか』




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