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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第15章 命の・・・重さ



『バカだなぁ・・・っ、マリア…っっ』


『っ…~~っ…ごめんね』







マリアは・・・最後の最後まで
置かれた状況や俺のことを考えて

決心して・・・

俺に告げずに予定通りに病院に
行ったらしいんだ。


もう絶対に逃れられない…

そんな状況で
それでも自分の中から沸き上がる
〃なにか〃に…

必死に声を上げて
なんとかとどまったらしいんだ。





マリアを動かしたもの・・・




それは小さな命がマリアに与えた

大きな大きな力だったのかもな…






形もなんも見えない…

根拠もなんもないけど

確かにそこに存在した〃なにか〃






マリアの中にいる〃ソイツ〃が
もうそこにも…

この世のどこにもいないんだ…
そう思っていた俺は
その事実を聞いて


ぶっちゃけ・・・



素直に・・・ただただ

本当に嬉しかったんだ



それこそ根拠なんかねぇよ?



俺の…大事な人が
大事に…大事に
命がけで守ろうとしてる

大事なもんが・・・〃ソイツ〃が

マリアの中にまだいてくれた
生きてくれてた

それが・・・ただただ嬉しかったんだ。






『オメェ・・・チビのくせにスゲェな(笑)』





俺はマリアの平らなお腹に手を添えて
〃ソイツ〃に話しかけた。





必死に生きようとしている

その小さくて尊い

重い命と



マリアをつよくする

その大きな力強さを

労って

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