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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第15章 命の・・・重さ


『マリア・・・』


『・・・』





ピクリ…と

マリアの肩が動いたのがわかる。








辺りはすっかり暗い
マリアは公園のベンチで
ぼんやりとしていた。








『・・・ゆぅちゃん』






振り向いたマリアの表情は
今にも泣き出しそうで・・・



いや・・・ずっと




今まで泣いていた





そんな表情。







〃あぁ・・・〃







俺はどこかがギュっと締め付けられる
そんな思いがして











『マリア・・・』




『・・・ごめんなさい』












『マリア…』





『騙すようなことして・・・勝手なこと』













マリアを責める気なんか
ちっともない。


責める事なんか…出来ない。


俺にも・・・誰にも









『マリア…もう・・・帰ろ?』


『ごめんなさい』










『沢山・・・沢山悩んだんだよな?

考えて、考えて・・・苦しんで

俺のことも考えてくれて・・・それで

出した答えだったんだよな?』











『私・・・勝手なことばかり

ゆぅちゃんの気持ちも裏切って

ワガママばっか・・・本当に最低

きっとバチがあたる。

私はきっと…地獄に堕ちる・・・』







もう、自分を責めないで欲しかった。







『マリア・・・』













『なのに・・・ダメだった』










『うん?・・・』












『逢いたい、って思った・・・』









『マリア…』













『私は・・・どうしても

〃この子〃に・・・逢いたい…っ』

















そう叫んで

マリアは少し泣いた。




堪えきれずに

俺も少し泣いた・・・

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