
かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第16章 瞬間(とき)の・・・悪戯
『大丈夫か?…ケガしなかった?』
精神的なストレスや苦痛・・・
何より身体そのものに
ダメージなんかあろうものなら
取り返しのつかないことになる
俺の目に入った時点でも
走ったり、転んだりして・・・
俺はマリアの身体が心配で
不安でたまらなかった…
『大丈夫だよ・・・』
マリアが返事をする
・・・。
アザが出来るほど殴られたワケではない
けど…かすかに腫れているマリアの頬
『一応冷やしておこうぜ…』
俺はマリアの頬を少し撫でた
アイツ・・・また
マリアに手をあげやがった
俺の・・・目の前で。
初めて目の前で見た
その現状に…とてつもない憤りを感じていた
『ありがとう…私は大丈夫』
『・・・』
『…ゆぅちゃんこそ・・・』
『ん?・・・』
なんか・・・マリアの目が潤む
『ゆぅちゃんこそ・・・ケガ…平気?』
『おぉ♪俺は比較的、頑丈にできてる(笑)』
『あんな…っ…無茶してっ・・・
大ケガしたらどうするのょっ…っ』
『~~泣くなっつーの(苦笑)!
大丈夫だったんだからいーだろっ』
しょーがねぇーだろ
アイツを殴り飛ばすワケにもいかねぇし
出来れば顔も見られたくねぇし
他人のフリして仲裁に入るより
〃イカれた当たり屋〃風のが
色々ごまかしきくかと思ったんだよ!
俺そんな賢くはねぇからな
他に思い付かなかったんだからよ(苦笑)
つぅか・・・考えてなんか
いれなかった、ってのが正しいけどな
俺・・・あの瞬間
本気で怖かったから
ありとあらゆる意味で
本気で怖かったから・・・
