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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第16章 瞬間(とき)の・・・悪戯

『ただいま…』


自宅に帰って部屋を覗くと
マリアがソファでうずくまっていた。


マリアの旦那は仕事中みたいだったし
まさか追ってはこないだろうと思ったが


物理的にも精神的にも安心したいというか
とにかく現場から少しでもはなれよう…

俺は咄嗟にそう思って
病院からほど近いマリアの家は避けて
俺の家で合流した。





『っ……ゆぅちゃん…っ』




俺の姿をとらえたマリアが
パタパタと走ってきて
俺の胸に飛び込んだ・・・


カチカチと震えながら
俺にしがみついて・・・




『オシオシ・・・~大丈夫・大丈夫』



マリアの背中をさすりながら
なだめてるようで


俺は実際…しばらくは
かける言葉が見つからなかった。





隠し通せる事ではない


だけど一番知られたくない人間に
マリアの妊娠が知られてしまった


そんな気持ちは否めない。





せめて…今でなくても




そして…まさかのこんな
鉢合わせするなんて形でなくても




バカみたいな運命のイタズラを呪った。





『~~…っ…~~っ…』



『マリア…疲れたろう?座ろっか』





ソファに座って脚をのばして
マリアの震えが止まるのを待つ





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