
かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第16章 瞬間(とき)の・・・悪戯
あれ・・・?
ある時、マリアの手にしてるモノに
目がとまる。
『・・・ハァ』
微かにため息をついて操作するのは
古い…と言うか元々持っていた
旦那名義のケータイ。
『…また持ち歩いてんの?』
どこか憂鬱そうなマリアに聞く
『あれから…たまに連絡くるの
メールだけだけど・・・
家に帰って…恐る恐るみる…みたいなのが
なんかイヤで・・・』
『ぇ・・・』
ようやく旦那が動きを見せた。
かと思えば・・・
〃「母子手帳預かってる、帰ってこい」〃
話し合う旨のものではなく・・・
マリアを不安にそして
憂鬱にさせるものばかりだった。
俺は・・・思うんだけどさ
こんな状況…つまり
奥さんに別居まで言い渡されて
この期に及んで、帰ってくる…なんて
思うか?
少なくとも…俺なら思わない。
自分の現実とか
状況がわかってないって言うか
俺自身、間近であの男をみて
行動・言動を見て・聞いて
いよいよ危ないヤツじゃねぇ?…って
思わずにいられなかった。
気にしない・・・なんて
中々の無理難題だ。
何事も思うようになど…順調になど
行かないことの方が多いかもしれない
ひとつ狂うと、もうひとつ・・・
じゃないが
俺たちが不安になればなるほど
様々な事が・・・狂い出す
