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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第16章 瞬間(とき)の・・・悪戯

『っハァ…ハァっ…ハァっ…』


『・・・』



ミユが頭を押さえながら
呼吸を乱して泣く






『許さない・・・』


『・・・』






『あんただけは・・・許さない』



『・・・。あなた・・・彼のこと』








『っそうよ!・・・あたしはずっと…

あんたと違って、ずっとシノくんだけ見てた!

あんたより…ずっとずっと前から!

彼だけを見てた!!!これからだってそう

〃あんたとちがって〃!!…』








『・・・ふふ』








『なにがおかしいのよっ!?』









『ごめんなさい…

…笑ったんじゃないの。

〃うらやましい〃だけ・・・』





『…!?』









『・・・自分の本当に好きな人に
〃好き〃って…ためらわずに

堂々と言えるのが

うらやましいだけ・・・

好きな人に好きって…誰もが

言えるワケじゃないから』







『・・・~~~~!』








『あ…私の好きな人は
大学の〃先生〃だから・・・

堂々と好きなんて言えなくて
だから…うらやましい

それと・・・あなたみたいな女性(ひと)が
彼の側にずっといてくれたら良かったのに』






最初から・・・彼に
そういう人がいてくれたら

〃諦め〃がついたかもしれなかったから・・・




ミユの言及に

マリアは迷わず、惑わず

平静を装って嘘をつき続けた

首を縦にだけは振らない…振れないのだから






『ふざけんなよ・・・っ

このふしだら女…っ!!

男は騙せても!あたしはあんたなんかに
騙されない!!!』





バコっ・・・!





『・・・っ!』





ミユがバックを振り上げて
マリアを殴打した






『不潔な不倫女っ!!!卑怯者!!

シノくんを・・・っ

ユウトを返せっ!!!』





逆上したミユは歯止めが利かず
バックを振り回した





『!?・・・っ、や、やめてっ』





マリアは背を向け
必死にお腹を庇う





『返せっ…!返せぇぇっ!!!』





『やめてっ……お願いっ!!!』






マリアの足がどんどん後退する




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