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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第17章 翼を・・・ください

『俺こっちだから…じゃあな・・・』




それでも・・・俺は








『シノくん・・・』





『・・・?』






『もぉ・・・嫌われちゃってるから

この際だから…ホントのトコ

言っておこうかな・・・』







『???・・・』







『お腹の赤ちゃんには…あたし
本当に酷いことした・・・

一生の負い目だし…
あたしが死んだって・・・償いきれない

けど・・・あたし・・・』







『・・・』








『あたし・・・あの女性(ひと)には・・・

あの人には…悪い事をした…っていうか

あたし・・・あの人の事は

ちっとも可哀想とか・・・思ってない』










『おい・・・』











『あたしがした事は悪い事……!
ひどいこと・・・最低なのはあたし…!

でも…っ…
あの人に…悪い事をしたけど

あの人を…可哀想だとは、あたし
本当は…ちっとも思ってない・・・っ』







それでも・・・俺は

あんな…別人みたいに狂ったようなミユが
未だに信じられないでいるのか

ずっと腐れ縁みたいに仲間だったミユを

その〃良心〃を・・・

俺はまだ、心のどこかで
信じていた・・・
信じていたかったのかもしれない




庇うことなんか出来なければ
庇う気持ちもない・・・



だけど・・・





『ミユ・・・いい加減にしろよ』








それでも俺は…あれは本心じゃ…

ミユに本当に悪意や…隠れた狂気があった
そんなんじゃない

どこかでそう思って…
そう思っていたかったのかもしれない

なんでかは・・・知らないけど


俺が…狂わせてしまった〃なにか〃の
ひとつなのだ…と

俺は勝手に思っていた









『あの人のことなんか…

ちっとも可哀想じゃない・・・っ』







『ミユ・・・もう、やめろ』









『自業自得だよ・・・バチが当たったんだよ』








『おい・・・ミユ』










『不倫なんかするからだよっ・・・!』

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