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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第18章 捕らえられた・・・かごのとり

広い世の中のどこかで

誰が悲しんでいようが
苦しんでいようが

周りってのは、時間ってのは…何事もなく
変わらずに過ぎていく






『はよございまーす…』





生きてる人間は…進まなきゃなんねぇ






聞き慣れたはずの会社の雑音
人の行き交う音…声


こんな鮮明に聞こえてたっけな?


なんか
置いてきぼりみてぇな気分になるぜ…



時には〃余計な音〃まで
聞こえてきたりな・・・







「なんか…やつれてない?」

「シノミヤさんでしょ~?二日酔い?」

「ついに三角関係が・・・!?とか?(笑)」

「それってアサノさんと?」

「バーカ♪そっちじゃなくてぇ」









聞こえてるっつーの・・・

他にやることねぇのかよテメェらは






うるせぇ・・・



うるせぇ・・・マジうるせぇ



そうだ・・・


余計な声には耳塞ぐんだ



それ・・・どうやるんだったっけな



ははは・・・



わかってはいたことだが

この辺に関しては俺は…

〃俺とマリア〃は…孤独だったんだよな

味方なんか…どこにもいねぇんだった













『オッス♪シノく~~ん!!!』







『・・・』






聞き慣れた、よく通る声ここにもひとつ・・・



ついでに聞きたくもねぇ声…







『お昼だぞぉ~~~~っ?!』





『・・・』





どういうつもりだテメェは…

いくら図太くても、そこまで神経が・・・








『あ!ねぇねぇシノくんっ!?

下宿してきてた〃親戚の子〃

帰ったの~~?』





・・・。






『・・・・・・は?』






ミユの馬鹿デカイ声と
その内容に思わず振り向く







『予備校行ってるって親戚の子さぁ~!
あのカワイイ女の子~~♪』







『なに・・・言って・・・』










『♪だぁからぁ~~・・・

・・・・・・。

ボソ…うろたえない。適当に合わせる…』






俺をじっと見るミユの目が
その声のトーンと軽快さに反比例して
笑ってもおらず、緊迫して真剣だった





『・・・・・・』

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