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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第19章 愛してるから・・・さようなら

『こわかったの・・・私こわかったの』




『うん・・・うん・・・』





そりゃ…当然だ


あんな頭のイカれた事をする男だ


恐いに決まってる






だけど、マリアの話は
俺の思うそれとは
段々ちがってきて・・・








『絶対に……ないって思っていても』



『・・・?』








『あの場に……あの人が帰って来たら…

鉢合わせたら・・・逃げるとこ

見られたら・・・って』






『マリア・・・』






『ゆぅちゃんに・・・なんかあったら

って・・・こわくてたまらなかった』







『・・・』








やっぱりさ・・・マリアは



どうしてもマリアは
こういうヤツだからさ




出来なかった…それもあるけど


あんな状況で
マリアは逃げることを
諦めようとしていた


自分ではないヤツを・・・俺を
守るために




でもって俺は
やっぱり確信するんだよ



無茶なのは

いつだって一人
無茶しちまうのは

マリアの方だって・・・









『クス・・・ごめんな?マリア

俺がバカなことするから・・・』








『ちがうよぉ・・・そうじゃない』





『~…』



マリアが俺の腕のなかで
小さくなった






『それなのに私・・・嬉しかった』







『・・・マリア』








『びっくりしたけど・・・嬉しかった』






顔を隠してるけどわかる

マリアが泣いていた






『ベランダにゆぅちゃんの姿みて
私・・・嬉しかった

ゆぅちゃんの顔みて…安心してた

あぁ、助けに来てくれたんだって

もう大丈夫だ……って
よかった、って…私…安心してた

言ってること…めちゃくちゃ
最低だよ、私』





『(笑)なんで?…いーじゃねぇか

俺はそのために行ったんだから』






『・・・あのね、ゆぅちゃん

今日はたくさん…話がしたい』






『ん・・・?・・・あぁ、そうだな』






そう言えば
連絡とれなくなる前から
なんか言ってたもんな・・・





『マリア・・・』


『・・・ん』





マリアを抱きしめ直す







『……ぃたかった』



『ゆぅちゃん・・・?』











『・・・会いたかった』

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