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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第19章 愛してるから・・・さようなら


『・・・まりあ?』




控え目に…名前を呼ぶ




そうしか…呼べなかったのかもしれない




なんとなく?




マリアが・・・この部屋に
いない気がしたから





なんて…そう思うのは




それは・・・あの不思議な?

いや、不気味な?

縁起でもねぇ夢のせいだろうか






ドタタっ・・・




転げるようにベットからおりた




腰がイテェ・・・


ってのは


自業自得か…。








『マリアっ・・・?』




トイレか?

風呂か?




狭いアパートに
探す場所なんか、そう多くねぇ





マリアがいない・・・




それを確認するのに
時間はかからなかった




コンビニでも行ったか?



マリアの荷物もない・・・









ガチャ…



勢いで玄関を開けようとするが
施錠されていた




『・・・』





ガコ・・・チャリン…っ




玄関ドア…

普段は開けることのない
新聞受けをあけると

俺の家の鍵が出てきた





それはつまり

マリアが

外から鍵をかけたってことだ





マリアが・・・出ていったってこと







あれはまるで・・・正夢か?



ゾワゾワと背筋に何かがはしる




『・・・?』



中に戻った俺は

テーブルのスマホを取ろうとして

ようやく見つける




俺のスマホを重しにして
はさんである



一枚の・・・メモ


















〃ケータイだけ返しにきます まりあ〃














『・・・』



現実を・・・確かめた





これは、現実・・・



これが・・・現実






あの不思議な?…いや

あの悪夢の続きみたいな

その現実を




ようやく・・・確かめた


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