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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第20章 二人の罪・・・そして罰

マリアのダンナ・・・



この男、確かにな

アタマは良いんだろうな

えらく回転は良かったし




会社や組織じゃ才覚発揮

そんなブレーンかもな





天才的だぜ

人の痛みや気持ちはわからねぇのに

人の〃弱さ〃だけはおさえてる







そうやって・・・ポイント押さえて

追い詰めれば…簡単に

自分は…どうにでも、いくらでも

優位に立てる

それをよくわかってんだもんな





だてに長く一緒だったワケじゃない

こいつは

〃本当のマリア〃をわかってなくても

マリアの性格はよく知ってる



そういう事だ


こんな事をすれば
そんな風に言えば・・・マリアは当然







『・・・』

『フフっ・・・〃決まった〃か?』





マリアは俺に背をむけたまま
旦那の手を引くような仕草をして
俺から遠ざかろうとする



『家に…一緒に戻ります』







『〃戻ります〃…?』





『戻らせて・・・ください』





『ククク…ちゃんと彼に
言わなくて良いのか?』




『・・・会いません』





・・・・・・。






『あなたとは・・・二度と

会いません・・・』










『・・・車に行ってろ』




満足したように頷いて
旦那がマリアに
車のキーを持たせる








マリア・・・お前の旦那ほどじゃねぇけどさ

俺も俺なりに

お前のこと知ってるからさ






バカだって言われても

青いっていわれてもさ





俺・・・











『・・・行くな』








俺は・・・マリアに

背負わせる事は

出来ねぇよ
















罪を犯したのは・・・俺だから






『マリア・・・行くな』

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