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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第20章 二人の罪・・・そして罰

『マリア、行くな…行ったらダメだ』




この男に連れていかれた…その先は

牢獄だ



マリアを待ってるのは

奴隷契約だ・・・





『絶対に行くな…』





ピクン・・・


マリアの背が、かすかに動いた





『お前……いい加減に・・・、っおい!?』



『っ・・・!』




『!?・・・ゆぅちゃん』





振り返ったマリアが
目を見開く





『おいっ、お前!なにしてる!!?離せ!』




俺は正面にいたソイツの背後にまわり
取っ捕まえて羽交い締めした





『・・・マリア、逃げろ』





『ぇ・・・』





泣き出しそうなマリアが
うろたえて立ち尽くす





『マリア・・・逃げるんだ、早く』


『ゆぅちゃん・・・なんで』




『っ、ふざけるなっ!はなせ!』









『っっ!…どこでもいい!逃げろ!!』


『ゆぅちゃん…っ、やめ…て』






『~警察でもシェルターでも!どこでもっ
なんでもいい!逃げろ!!

こいつと行くな…!!早くっ!
走れ!!…っマリア!』





『っっざけるなっ!!お前っ!!』




『ぅっ…!!っっ・・・!』





ヤツが腕を振りほどいて
俺の腹にエルボー食らわせて逃れる




『や…やめてっ!!』





『っ!!ふざけた野郎が!!
~まりあ、行くぞ!ほら、来い!』



『~~っ!』



『っせぇよっ!テメェは…っ!』


〃止まりやがれっ〃


マリアを連れて車に走ろうとするヤツを
タックルして引っ剥がし
夢中で押さえた





『マリアっ・・・早く行けよ!』




『ダメ…、そんなのダメっ!
そんなことできるわけ…

もういい…もういいの…っ
だからもう、やめて』







『うっせぇっ!いーから行け!
なにがいいんだよ?!
ちっとも良くねぇだろっ!!

このまま行ったら、お前の人生
今度こそメチャクチャだぞ!

自分でわかってて
なんでその道に行こうとすんだよ!?』




『ゆぅちゃんっ…』





『まわりばっか気にすんな!
他人の心配ばっかすんな!
俺の心配なんかすんな!!
自分を守る事を考えろ!!』





この場で息の根を止められても良い

ただただ…必死

無我夢中だった

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