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『マリア！突っ立ってんじゃねぇ！早く』



『出来ないってばっ…！』




『うっせぇっ…言うこと聞け！
お前…ただの冒険気分で家出たのか！？』




『・・・っ』







『地獄みてぇな人生…御免なんだろうが！
もう沢山だろ！十分だろ！？

他人の事や細けぇこと気にしてっから！
いつまでも自由になれねぇんだよ！

ちゃんと〃生きろ〃！！
自分に正直に…っ
お前らしく・・・空気の美味いとこで！』






『ゆぅ…ちゃん・・・っ』






『泣いてんじゃねぇよ！早く行け！

他人(ひと)のために生きる前に
自分のために生きろマリアっ・・・！

走れ・・・っ』






『っ・・・！』






マリアがやっと背を向けて
その足が一歩…二歩
そして走り出す








ユル・・・




マリアの後ろ姿を見て

俺の腕の力が少し緩んだ



『・・・』






『っふっっざけやがって…この…っ

血の気の多い・・・クソガキがっ！！！』





俺を振りほどいたヤツが
般若みてぇな形相で振り向く



ま・・・そりゃ当然だな






ガキで悪かったな…

大して歳も違わねぇクセに
テメェのしてきたことも相当なガキ…

ガキ以下の最低ヤロウなクセしてよ




あぁ…コイツわかんねぇんだもんな

裸の王様・・・嫁さんにも
哀れまれるくらい笑っちまうような

カッコわりぃ王様だったもんな

ははは・・・







ゴツ・・・っ





『っ・・・！』






男の拳が俺の頬を直撃する





いってぇ・・・



それもまた当然か




あー・・・この旦那

学生の時からしばらく？
空手だかテコンドーだかやってたとか？

マリアはあまり俺に
旦那の話なんかしなかったけど

そんな中の貴重な情報・・・
すっかり忘れてたぜ




まいったな・・・まぁ、いい




あのまま連れて行かれたら
こいつの怒りも

無駄に余ってるこの腕力も
マリアに向けられてしまう


そうは・・・させない




殴れ殴れ・・・好きなだけな
あんたにはその権利がある




マリアが…逃げられれば
それでいい



ぶっ飛んで地面に大の字になった俺は
軽く目を閉じた













『やめて・・・っ！！！』









・・・！？