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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第22章 盗人の意見・・・

『はい…俺には常識なんか語る資格も
あなたに何か意見する資格も
何一つありません』







『フフ…正しい心構えだな』





『もしも・・・俺が』




『だから…お前の意見なんざ
こちらは求めてないぞ?
何度も言わせるな』




『…俺じゃなくて、彼女なら別だ

彼女が訴え出れば…あんたは』




『ふっ…まりあ?
アイツだって同じことだ

くだらない感情で、くだらない
お前なんかと不倫して

そんなヤツが配偶者を訴える?
鼻で笑われて終わりだろうよ

たとえそこに…〃どんな事実〃が
存在しようとな』





自信満々に
よくもこう、不気味に笑ってくれるぜ




『なんなら試してみるか?
アイツが見つかり次第でも構わん
訴え出てみろ?
不貞をする女や…人の物に手を出す
非常識きわまりない盗人の声を
一体どこの誰が聞いてくれるかを、な』





『・・・』







『力や信用と言うのは
そういうものだ・・・覚えておけ』





コイツ・・・本当の下衆だ


そう思った


だけど






『人の道に反して
社会的な地位も信用も持たず
まっとうに立ち位置も持たない

そんなヤツがな
いくら何を吠えたって
誰にも相手にされないぞ』






またも


その捨て台詞だけは

頭に残ったんだ…このあとの…

〃後々〃までな










『・・・まりあが接触してきたら
すぐに知らせろ』



『・・・』




『匿ったりしたら、二度目はないぞ
わかってるな?』





『どうやって・・・捜すんですか?』



『お前の知った所じゃない』





ヤツは吐き捨てて

ついでに名刺も投げつけて

さっさと去って行った

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