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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第24章 二人だけの誓い・・・

『ふふ…着替えちゃった』



マリアは俺に気を遣わせまいとしたのか
買ってきた別の服を着て微笑んだ


涼しげなノースリーブのワンピースに
風通しの良い
鍵編みのカーディガンを羽織って






バサッ…



マリアが着替え終えると

俺はどこかのオヤジが
マリアに買い与えた下品な服を

おもむろにゴミ箱に
放り込んだ




『あぁっ、ちょっとゆぅちゃん!?』



『・・・』




『貴重な着替えを~…』




『着れりゃぁイイってモンじゃねぇ…!』





『ぷっ・・・確かにね(笑)』






マリアの荷物…


最低限の着替えに、化粧品のポーチ

財布と・・・通帳、印鑑



切実なまでのギリギリな持ち物…


それを整理したマリアは
顔のアザを隠すように
ほんのりと化粧を施す



普段の化粧…薄化粧じゃ
中々隠しきれない顔のアザ





『よし、出来た♪』


仕上げに…と言うように
買ったばかりのコジャレた
麦わら帽子を頭にのせて
マリアが振り向いた



『ファストファッションにしては
まぁまぁってとこかな♪』



リーズナブルなコーディネート…

それを感じさせない着こなし方をして
マリアは満足そうだ



『イイ感じイイ感じ♪
じゃ少し出かけるか?』



『うんっ…』





再びホテルを出て
知らないその街を二人で歩く





ちょこちょこ…テクテク




俺の少し後ろを歩くマリア




それは…歩幅の違い・・・それとは違う




マリアの…俺たちの・・・癖





トコトコ・・・



俺は足を止めてマリアを待った




『?』



合わせるようにマリアが
少し後ろで止まる




『・・・』



トン・・・トン・・・



俺は2歩戻って
マリアの隣に立って




その手を・・・そっと握った




『ゆぅちゃん・・・』


『・・・べつに、いーだろ?』





ここには…俺らを知ってるヤツはいない




人前で…それも昼間に


マリアと手を繋いで並んで堂々と歩く





俺たちにとって


初めてのことだった

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