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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第24章 二人だけの誓い・・・

『〃まりあ〃・・・俺と結婚して』






しゃがんだマリアの手をとって起こし
向き合う






『ゆぅちゃん・・・っ』






マリアは目を覆って泣いていた






『デカイ家も良い車も…
ねぇかもしんねぇけど

必ず・・・幸せにする

空気のウマイとこで
俺とマリアで…〃家族〃つくって

マリアが…マリアらしくいれる
そんな人生・・・約束する

必ず、そういう未来を…つくる

だから・・・俺と』






『っ、うっ・・・も…いい
ゆぅちゃん・・・もぅ…十分・・・』








『~マリア…泣くなってぇの

手…出して…ほら』





『うっ…っ…ぅ』





『・・・手、…ほら…〃右〃でいーから』




一瞬・・・左手をとろうとして

俺はマリアの右手を持ち上げた








『これは、予行練習だからな・・・』




『れんしゅう?…っ…ぅ…っ』







マリアの左手…何もついていない左手薬指



一見〃空いている〃ように見える

その細い薬指には

〃見えない鎖〃のように

マリアをがんじがらめてる呪縛がある








〃ここは・・・空いていない〃






俺はマリアの右手の薬指に
そっと指輪をはめた






『ぉ♪…ピッタリ』


『っ…ひっく…っ…』






『本番用は…〃その時〃が来たらな

~安物だけど・・・とりあえずコレで…

〃仮モン〃だと思って我慢しろよ?』








『っく、…ぅ…っ…私には勿体ない』








『マリア…』








『なにもなくっていいの…

ゆぅちゃんといる…それだけで

なのに…指輪まで・・・

私には…勿体ない…罰当たりなくらい』






マリアが涙でぐしゃぐしゃの顔を
やっとあげた


安物の指輪を嬉しそうに…
大事そうに、右手を太陽にかざして
ニコリと微笑んだ







ドキッ・・・





っとするんだよ俺…一々な








『ありがとう…っ』





マリアは太陽みたいに
ニカっと笑った

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