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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第25章 二人の部屋・・・

『・・・』

急いでたはずの俺は
手をかけるとガシャンと音のする
共用玄関の前で立ち止まっていた



ヒソヒソ…



「訳アリってなによ訳アリってぇ~!」


「ウフフっ…だぁかぁらぁ~
例えばカケオチ?・・・とかっ???」


「ブッハハハハ!ドラマの見すぎよあんた!」


「~でも?この辺の人じゃなさそうだし
どこか…都会から来たって感じよね?
コジャレた感じでさぁ」


「あれよ、つまり…流行りの(笑)
〃不倫〃よ不倫~!その末に二人で?!」


「えーー?!でもどっちが?!
女の方?!男?!それともダブル不倫~?」


「あんな大人しそうな女の子が~?!」


「バカねぇ~…あんな大人しそうなに
限ってって…あるのよぉ?!」


「そうそう!真面目そうってのが
一番危険ってねぇ~」


「えーーー?!ヤダわ!信じられなぁい
いやらしいわぁ~~羊の皮被ってぇ?!」


「若気の至りかしらねぇ?最近はほんと
ニュースみても何でもそうだけどぉ
なんにしても…」





「「「〃乱れてる〃わよねぇ~?!

ギャハハハハハハハ~~っ!!!」」」







・・・。




思いがけずタイミングよく聞こえてきた


下品な話し声に、笑い声





『・・・』





ガチャン…っ




ツカツカツカ…





『こんちわ~~…ッス』




俺はわざと勢い良くドアを開けて

目もあわせない無愛想な挨拶をして

井戸端会議の横を通り抜けた





「えっ…あ、…あぁ、こんにちは!」






壁に耳あり…障子に目あり?なんて

あんたらみたいな古い人間のが
よく知ってる言葉じゃねぇ?


少しはわきまえりゃいいモンを…


飛び出した俺の登場に
明らかにあわてふためいた主婦が

無茶苦茶なくらい平静よそおって
余計に動揺していた



「奥さん…っ先に歩いて行ったわねぇ?!
今日もご一緒?…本当に仲がよろしいのね
ウフフフフっ…いってらっしゃぁい…」


『・・・』




俺は黙って会釈して
慌てて解散していく主婦たちの横を
さっさと通りすぎた

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