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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

どれくらい…そうしてただろうか


気づけば日付変更線はすぐそこだ


・・・言わんこっちゃねぇな





『フゥ・・・マリア?』


『うん・・・』




さっきより…お互いに幾分明るい声色

お互いの体を、そっと…はなす






ビシッ・・・






『!?・・・』


『ぁ・・・』








ジャリ・・・






はなれようとした俺とマリアの間に

お互いが胸に下げていたネックレス…



正確にはペアリングをつけた

チェーンが絡まって

俺とマリアを繋いでいた








『あぁ・・・っ』


『ぷっ・・・〃はなれんな〃ってか?(笑)』






『~~~…っ』


『やべ…とれねぇ、千切れるかな?』




『ん~~…ちょっとまって』


マリアが一瞬慌てて
器用に、絡まったチェーンをほどいていく






『ん・・・~とれた』




『・・・』





『電話・・・してきちゃうね』



マリアがニコリと笑って
俺からはなれた




『大丈夫か?…結局こんな時間に
なっちまったけど』



『ん・・・まぁ、出ないかもしれないし
かけるだけかけてみる

説明も…ちょっとムズカシイから
帰る…ってだけ伝えて

詳しい事は…帰ってから
話そうと思うの・・・』




そりゃ・・・4コマ漫画のように
パパパっと話せる話ではない

1分2分・・・数分で
説明のつく話でもないよな




『マリア・・・わりぃな

明日…空港まで、送りたいんだけどさ』




『何言ってるの…ゆぅちゃん
お仕事なんだから!…

むしろ遅くなってごめんね・・・

大丈夫だよ♪
~子どもじゃないんだから私(笑)』







子どもみてぇに・・・さっきまで
泣いてたくせに


なんて


からかおうとして…やめた




マリアを…ホテルに泊めずに
連れて帰ろう

なんて

消しては湧く気持ちも
もう考えるのをやめた





話せば話すほど・・・


こうして隣にいればいるほど


別れが・・・惜しくなるから






マリアが電話を終えたら

ホテルに入れて

俺は帰るんだ



明日からの…俺の日常に

〃一人〃で、帰るんだ・・・

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