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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

俺は子どもでもあやすような気持ちで
マリアの背中や頭を撫でていた



『クス…ちょっと…行ってみてぇんだよ
マリアの生まれた土地…』



『うっ…っ、うっ・・・ゆぅちゃん』





『なぁ?…シカとか
その辺歩いてるってマジ?(笑)』






『っ、うっ・・・~ぅん』






『マジかよ?!(笑)
あ~テレビで見たことあんだけどさ

なんもない…真っ直ぐの牧場みてぇな
広い道とかさ

あれ見てみたいよな♪』






『ゎ…わたしのうち…もろ
そういう土地…ホントに田舎の方』






『マジか!?最高だな♪
楽しみ増えたからさ、俺も
明日から仕事とか…頑張るぜ♪?
かったりぃけど(笑)』







『ゆぅちゃん…っ、うっ・・・遠い…よぉ』







『生きてんだから…会える

会いたいと思って・・・自分の足で

どこにだって…会いに行けるぜ…

そこに・・・道があるんだから?…』






俺は…数日前の
マリアの言葉を思い出していた






『誰かが作って…歩いて来た道だから

どっかで繋がってるから

どこにだって・・・会いに行けるぜ?』






俺たちは…絶望してる訳じゃないんだ

希望を持って…前を向いているから

こうしているんだ




マリアにひたすら声をかけながら

俺は自分自身の寂しい気持ちを

必死に消そうとしていた




『あそこも…自然豊かで
食いモンも旨かったけどな~

マリアの地元は…もっと色々ありそうだな♪
有名なモンも多いし?

あ~…と牛の乳絞り体験でもするか?(笑)

つぅか土地もデカイっつぅか広いし?
空気もキレイそうだよな♪

てか俺・・・マリアがいれば
どこでもいいんだけどさ(笑)』





『ぷっ・・・ふふふっ
ゆぅちゃんの…話

話だけでお腹いっぱいになりそう(笑)
おいしい空気と…おいしい食べ物

たっぷり紹介するよ・・・ふふ』





涙を拭って
マリアがやっと笑顔をみせた





『そうやって…時々、会いに行く

そんで、片がついたら

俺たちは…一緒になる・・・約束だ』






『うん・・・、うん・・・っ

約束ね・・・ゆぅちゃん』







暗闇に紛れるように
俺とマリアは抱き合って
ゆっくりとキスをした

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