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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

『フゥー・・・』


ジュッ…


ヤツが最後の煙を吐き切って
タバコを捻り消した








『まりあ は・・・
俺の戸籍から、抜けないまま

俺の手の中で生き
俺の子どもを産んで

俺の妻として死ぬ
同じ墓に入って、死んだ後も一緒だ

それが、アイツの人生だ・・・』









『・・・』



この…気味の悪い

ご立派な演説を

ボイスレコーダーでも仕込んで

全国ネットで公開してやりたかった












『まりあ は、お前より先に
俺に出会った

そこから…そういう運命だと
決まっていたってことだ

だから、悪あがきはやめろ?
とっととあきらめるんだな

・・・フフフっ・・・じゃあな』








『・・・』













〃運命〃・・・






カタチも理屈もない





誰かが考えた


得体の知れないモノ











俺がそれを論破出来なかったのは

なぜだろう






それは…やはり










その得体の知れないモノこそが


何よりも大きく


俺の前に立ちはだかる






ぶっ壊すことも


飛び越えることも出来ずにいる





固くて・・・分厚い


高い高い壁のように


俺とマリアの行く手を阻んでいることを




俺自身が誰よりも


知っていたからかもしれない







〃どうしてコイツがマリアの夫なんだ〃



〃どうしてマリアはアイツの妻なんだ〃







マリアと生きる事を望んでから


俺が幾度となく嘆いた





どれだけ嘆いて恨んだか知れない


その運命・・・

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