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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

べつに・・・俺の自惚れとか

そういうんじゃねぇんだ



ただ・・・この目に映った事

それだけなんだ






マリアの夫であるこの男が


俺を恨んだり、憎く思うのは

至って普通・・・当然のことだ




そんな…表面的なモンじゃなくて

俺が…見たのは

ヤツの中に蠢(うごめ)く…〃嫉妬心〃








見せつけるようにマリアに指輪をはめたり

端から見たら奇行にさえ見える

数々の行動や言動に見え隠れするのは

ヤツの嫉妬心






自分を裏切った

プライドを傷つけたマリアに

徹底的に制裁を加えたい



その根源である俺を

徹底的に憎み…裁きを下したい




そんな当然の感情の中に

燻るのが・・・嫉妬心





ヤツは俺を心底憎んでいる




だけど…あの行動と

瞳(め)が物を言っていた




ヤツが本当に許せないのは


もちろん俺であり


その根底は




俺が・・・マリアを



なにより



その…彼女の〃心〃を奪ったこと・・・





それをヤツは知ったんだ


だから・・・ヤツは

その何物よりも屈辱的な思いを

叩き潰そうとしていた




俺には・・・そんな風に見えたんだ









永遠に解り合えない、あんなヤツ

なのに、皮肉にも


嫉妬に狂う程、嫉妬していた俺は

そんな気持ちだけは

解る気がしていた




わかるのなら…本来は

誠心誠意…詫びる所だが・・・





それと同時に

内に秘めた嫉妬心…それだけは

ヤツと自分が〃同じ男である〃

と、俺に自覚させた





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