テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

本音を言えば

俺は…ちょっとだけ言わせてもらいたかった





執拗に追い回したり…追い詰めたり



それだけの熱意があるのなら




その執着心や…エネルギーがあるなら




それを…愛情に変えて




奥さんに・・・マリアに

向けていたら



あんたも・・・何より、マリアも

あんたら夫婦は


どこにでもいる・・・いや、それ以上に

あったかくて

幸せな

最高の家庭を…



誰もが羨む

最高の家族になっていたかも知れないのに





あんたさえ……人間として

男として

本当に、まっとうであれば



マリアは・・・今頃



マリアは


俺になんか出逢わずに

こんな苦労もせずに


大きな優しさと…笑顔


やわらかな心と…強さで


自分の家族を大切に守る


そんな


幸せな女になっていたかもしれないのに






俺は…そんなことを、嘆いてた






なんてったって…皮肉にも

あんたの言うとこの〃コソドロ〃の俺が



あんたが知らない

その女性(ひと)の美しさを



あんたから…その人を奪うことによって




その身も心も奪った俺が

彼女の本当の美しさを

知ってしまったんだから





それ故に俺は


誰かが敷いたレールのような

不条理に立ちはだかる

〃運命〃なんてモノを

憎まずにはいられなかった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ