マリア
第14章 虚飾曲
やがて、先生の指が増やされていたことに気づいていない僕は、
ただ、意識の中で目を覚まそうとするもう一人の自分を押さえ込もうと必死になっていた。
「あっ……あっ…んっ…」
不意に、僕の腰が大きく跳ねた。
潤「フフッ。やっぱり…予想通りの反応。」
「な……に?」
僕と目が合うと、先生は意味ありげな笑みを浮かべた。
「せんせ…今の…は?」
僕の言葉が終わらないうちに、
僕のナカにある異物がまた、動いた。
「ぃやっ…ぁあっ…ぁっ…」
今度は、何度も何度も、
確かな意思を持って同じ場所を刺激してきた。
「やっ…やだぁ…ぁぁっ…」
自分がどうなってしまうのか、という得たいの知れない恐怖心と、
恥ずかしい姿で、恥ずかしい声をあげている、という羞恥心で頬を涙が伝う。
「た…助けて先生。……おかしくなっちゃう。」
でも…でも…
気持ち……いい………
薄らいでゆく意識の中で、
伸ばした指先に感じられる確かな温もりに安堵する。
急に、異物感が感じられなくなった代わりに、
心地いいまでの温もりに包まれていて、
先生の腕の中にいるのだ、と安堵する。
潤「大野くん。」
恐る恐る目を開けると、
先生の笑顔がすぐ目の前に見えた。