マリア
第15章 悲愁曲
雅「気がついた?」
暖かな、心地いい温もりの中で目を覚ます。
「え…俺…寝てた?」
雅「うん。天使の寝顔、バッチリ頂きました♪」
雅紀はスマホをちらつかせた。
「バカ!!消せや!!」
雅紀からスマホを奪い取ろうとして、
自分が雅紀の腕の中に囚われてしまう。
「バッ!!バカ!!離せ!」
雅「いてっ!!いててて…引っ掻くなよ?」
「るっさい!!肖像権、ってもんがあんだろ!早く消せ!!」
雅「カズ、何だよ!?どうしたの?」
「消して……お願い。」
イヤ……見たくない。
天使みたいな俺なんて…
「消してよ…」
雅「カズ…」
訳もわからず、メチャクチャに泣いて、喚き散らした、面倒くさい俺のことを、
雅紀は、こう言ったんだ。
雅「カズ…好きだよ。」
「…うそつけ。」
雅「ホントだ、って?」
「じゃ、その証拠、見せてみろよ?」
雅「証拠、って…?何子どもみたいなこと言ってんの?」
「いいから。俺のことを好きなら証拠みせろや!!」
雅「お、落ち着け、って?な?」
俺の肩を抱き、宥めようとする雅紀。
「いい気なもんだよな?なんにも知らないくせに?」
このときの俺は、
死神、というよりは、悪魔といったほうがはまっていた。
だって、さ、とうとう、
絶対に言っちゃいけないことまで口にしてたんだからね?
「俺、アンタの友だちともセックスしてたんだよね?」