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マリア

第26章 終曲



翔side


「…失礼します。」



そーっと職員室のドアを開け、そーっと廊下に出て、



静かにドアを閉めたあと、その真ん前で大きくはあっ、と息を吐いた。






「何で呼ばれたか分かるな?櫻井。」


「…はい。」


「前回の模試はA判定だったのに…一体どうした?どこか具合でも悪いのか?」


「…いえ。」



模擬試験では第一志望でA判定をもらい、反面、



相変わらず智とは蜜月状態だった俺は、



勉強が少し疎かになっていた。



とは、言っても、



A判定をもらった時より少し成績が下がったというだけで、



俺はさほど気にかけてはいなかった。



だが……



「別に、謝れ、とは言ってない。どうしてこうなったかを聞いてるんだ。」


「それは…」



答えに窮して口を噤む俺に、担任は小さくため息をついた。



「まあ、いい。で、どうする?志望校変えて様子みるか?」


「いえ…次は頑張ります。」


「そうか。そう言うんなら次は気を抜くなよ?」


「…はい。」



はー…気が重い。



親父もお袋も俺の成績が下がったことなんて夢にも思ってないだろうから、



次は絶対頑張んないと…


それに、智にも変に気を使わせてしまうかもしれないしな?


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