同窓会 SN
第10章 ボジョレーヌーヴォー1 和也
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オートロックエントランスは 渡されてる合鍵のタッチセンサーで通り抜けるけど、
翔の部屋の玄関では インターホンを鳴らすことにしてる
何だか 鍵を開けて入るのは 我が物顔に振る舞うようで、まだ少し抵抗があるからな
程なく ドアを開けて
「早かったな」
と笑顔で迎えてくれる翔。
「うん、二次会の途中で抜けてきちゃった」
「ワイン開けたんだけど、飲むだろ?」
「うん、何?あ、ボジョレーヌーヴォーか。そっか、もう解禁してたんだっけ、今年はバタバタしてそれどころじゃなかったからな・・・」
翔は 本当はもっとどっしり重い感じの赤が好きなんだけど、俺はどっちかって言うとライトな方が好きだから 二人で飲むときは、赤のライトボディかロゼを飲むことが多い。
翔はちゃんと気を使って 俺の好みのものを切らさないようにしてくれてるみたいだ。
グラスに注いでくれたワインの色や香りを楽しむことも 翔が教えてくれた、
前は通ぶってるみたいで そんなことするのが気恥ずかしかった俺も、今ではソムリエの前でテイスティングするのも自然に出来るようになって、そんな俺を見つめる翔の瞳が優しいことも なんだか嬉しく、誇らしくさえなる。