同窓会 SN
第11章 ボジョレーヌーヴォー2 翔
ついさっき、和也が他の誰かを好きになったときには俺から手を離さなくては、と誓ったばかりなのに、やっぱりそんなことは起こらないで欲しい、そんなことはしたくない、と言うのが俺の本音みたいだ。
俺は和也の本当の幸せを願ってやれない、心の狭い人間なんだろうか?
・・・そうかもしれないな。
悔しいことに そう認めてしまうと、今度はそんな俺が和也の横にいて、公私共に雁字搦めにしていることも、これでいいのか?と苦しくなる。
こんなこと 考え始めたらもう止まらない。
負のスパイラルに陥った俺は 和也の後を追ってバスルームへも行けずに 1人ワインを飲み続けた。
和也が好きだからと、たくさん買い込んだせっかくのボジョレーヌーヴォーも、もう全然美味くない。
そんなはずないのにどろどろした苦々しい味にさえ感じてしまう。
まだ熟成が足りないけど、香りが爽やかで、よく味わうと深みもあって・・・
さっきまで このワインを和也の様だと思いながら1人楽しんでいたのにな。