
同窓会 SN
第29章 独占欲2 翔
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和也は会いたくない奴との再会をしてしまったようだが、実は俺の方も昨日ビミョーな感じの再会があった。
午前中の仕事が長引いた俺は 一人で遅めの昼飯を食べに出て、ビルを出たところで思いがけない奴に声をかけられた。
「翔先生」
「ん?・・・あれ、健永?」
そこには昔、家庭教師をしてやったことのある懐かしい顔。
懐かしいと言っても昔の面影はあまりなく、記憶の中のあどけない少年の顔はもうすっかり大人っぽくなっていた。
多分街ですれ違っても 気づかないだろうな。
ただ、俺のことを「先生」と呼ぶのは家庭教師をした数人の生徒だけだし、苗字じゃなくて名前で呼ぶのは その中でもまたごくわずかだ。
健永は特に、俺が社会人になってから 親のつてで頼まれて教えた生徒だから 家庭教師をした最後の生徒と言うことになる。
