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好き心少なからず

第9章 想いを込めて~入江希美の場合~

後悔の念に襲われながら戻ると、私の顔を見た絢音ちゃんが眉を上げた。

「遅かったね」

あ…だよね。

材料がなければ、作る為の準備も進まないもんね。

「ごめん。手間取っちゃって」

肩をすくめて笑って見せると、絢音ちゃんは小首を傾げた。

「ん?いいんじゃない?」

「絢音ちゃん?」

てっきり怒ってると思ったのに。

さらりと流されて、こっちこそ小首を傾げたくなる。

「私、小麦粉ふるうね」

絢音ちゃんがボウルを持ち上げ、水城ちゃんがその手伝いを始める。

「じゃあ卵やっちゃうね」

ちいちゃんが声をかけて、卵を手にした。

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