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好き心少なからず

第9章 想いを込めて~入江希美の場合~

「チクショー!!皆冷たいっ!!」

ベーキングパウダーを小さじで量りながら愚痴る宇野くんのトレイに、バターと卵を置くと

「あと砂糖だけだよ」

声を潜めて告げると、宇野くんは目を見張った。

あ…やり過ぎた?

いたたまれないのと恥ずかしさで、急いで自分のトレイを抱えると

「あ…ありがとう」

戸惑ったように…それでも声をかけてくれた。

なのに。

「別に!?ついでだから!」

そう言い捨てると、足早に自分の調理台に戻る。

ああ、もう!!バカバカバカ!!

どうしてあんな言い方しちゃうんだろう!?

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