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好き心少なからず

第24章 君さえ良ければ~姉ヶ崎×田口~

楽しげな口調に、思わず口ごもった。

「そういう訳じゃ…」

テニスを選んだ理由が、完全に不純なものだから…。

期待するような目をむけられても、それに応えられない。

「私、すっごく下手なんだもん」

「そんなの関係ないよ」

クスッと笑う田口君から視線をそらすと、自分の手が見えた。

今でも赤みが引かない。

握りしめた手を田口君の前に出すと、手を開いて見せた。

「練習で、こんな風になっちゃう位だし」

「うわ…」

私の手のひらを見て、田口君は絶句した。

だよね。

テニス部の子はこんな風にならないよね。

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