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好き心少なからず

第24章 君さえ良ければ~姉ヶ崎×田口~

「あと、その持ち方なら手首も痛めないよ」

田口君が手を離すから、素振りの真似事も終わってしまって…

慌ててラケットを返すと、田口君はラケットを自転車へ括り付けて言った。

「今度練習する時、試してみなよ」

今度…か。

「うん。練習、あと一回だからね。忘れないようにしなきゃ」

自分の手のひらをみつめ、小指から握ってみる。

違和感は拭えないんだけど…でも。

「ありがとう」

わざわざ足を止めて教えてくれて。

やっぱり田口君、いい人だよ。

微笑んでお礼を言ったら、田口君も笑いを浮かべた。

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