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好き心少なからず

第29章 球技大会3(栗原)

喜んだ俺と対照的に、先輩は困ったように笑うと

「だって…曽根崎くんが勝つに決まってるから」

「え…」

突然、突き放されたような気分になった。

それって…

笑みが凍りついた。

そんな俺に、先輩は慌てて言葉を重ねる。

「だって…部活で毎日やってる人に勝てないでしょ?」

「分かんねぇぞ?」

曽根崎さんは楽しそうに俺の背中をポンと叩くと

「まぐれとか、奇跡とかあるかもよ?」

俺の顔を覗き込んで、ニッと笑った。

まぐれ。奇跡。

そんなものが起こるのは、そうそうあり得ない事だって分かってる。

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