両親の部屋を盗撮したらとんでもない秘密を……。
第1章 プロローグ
僕は、ぎょっとして振り返った。すると、そこには僕の頭の中に浮かんでいた顔とまったく同じ、あの不細工な顔があった。
もちろん父さんだった。
僕は反射的にパンツをポケットに素早く隠した。
「どうした?なにをそんなに驚いているんだ」
僕を見下ろす父さんの顔は、背後からの照明が逆光になっていたせいで、異様に黒く見えた。
「べ、べ、べ、べつに…」僕は声を上ずらせながら後ずさりした。
が、とつぜん視界が猛スピードで急回転した。「うわああああ!」
まるで自分がボーリングの球になったような気がした…
マジで死ぬかと思った。
「おーい大丈夫かぁ」
階段を伝って届いた父さんの声は、ビミョーに笑っていた。
「うん、大丈夫…」な、わけねぇだろ…クッソッ…
僕もふくめて、それぞれみんな色んな性癖を持っていることはわかっているつもりだった。
けれど、まだ精神的に未熟な僕にとって、父親のダークな部分を受け入れるには、あまりにも荷が重すぎた。
「まさか、あれが父さんだったなんて…」
お星さまがキラキラ舞ってる天井を見上げながら、僕はため息まじりに呟いた。
そして、ゆっくりと静かにマブタを閉じた。すると、あのときの出来事が脳裏に鮮明によみがえってきた。