両親の部屋を盗撮したらとんでもない秘密を……。
第1章 プロローグ
寝つきが悪い夜。
僕は真っ暗な部屋で、パソコンの画面を食い入るように見つめ自慰にふける。
「くぁ、いっ、くっ」
自慰に使う動画は出演者が異なるだけで、内容的にはほとんど変わらない。
今日の動画のように、ナイフで身体中をズタズタに切り刻まれるとか。頭が粉々になるまでハンマーで殴られたりするようなグロいものばかりだ。
どうやら、こういった動画を、世間ではスプラッタームービーとかスナッフ・フィルムと、いうらしい。
こんな動画を好んで見るヤツなんて、とんでもない変態野郎に決まってると思うだろう。
そう思いたければ勝手に思えばいい。
だいたい変態の定義とは何だ?性癖なんていうものは千差万別それぞれ違うだろう。
そう、じつのところ僕は異性の身体どころか、セックス自体まったく興味がない。
つまり、僕のペ○スを勃起させる唯一の方法は、残酷な方法で人間が殺害されている光景を目にしたときだけだ。
いつからこうなったのかはハッキリ覚えていない。とにかく、幼いころから殺人願望があった。
もちろん親は僕にそんな願望があるなんて、これっぽっちも気づいてない。
このことを親が知ったら、きっと心臓麻痺を起こしてぶっ倒れるだろう。
とくに母さんは、女神様みたいに優しい人だからなあ。
父さんはともかく、なんでこんなに優しい母さんから、僕のようなサディステックな子供が生まれたんだろう?
「キャー!」
「ん?」
とつぜん隣の部屋から聞こえてきた絶叫。それは紛れもなく母さんの声だった。