両親の部屋を盗撮したらとんでもない秘密を……。
第1章 プロローグ
普通なら急いで母さんの部屋に向かうだろう。
しかし僕は、まったく動じることはなかった。
なぜなら、こんなことは日常茶飯事だからだ。
母さんはほとんど毎晩、こんなふうに絶叫するんだ。
内容はよくわからないけど、とにかく毎晩のように怖い夢を見るらしい。
つまり、母さんは悪夢にうなされているだけだ。
起こしてあげたいのは山々だけど、べつに気にしなくていいって言われてるし、それにカギがかかっているから入れない。
父さんは相変わらずまだ帰ってないみたいだし。
いつもなんでこんなに帰りが遅いんだろ?
ていうか、かりに父さんが居たとしても、カギを持っていないから、母さんの部屋には入れない。
しかも父さんの部屋もいつもカギがかかってる。
いったい、父さんと母さんの部屋の中はどうなってるんだろ?
ずっと謎だったんだよなあ。でも、もうじき、長年の謎が明かされる。
明日は珍しく二人とも帰ってこない。
そう、天井裏に隠しカメラをしかけるのに、またとないチャンスだ……。