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すきってきもち

第3章 後ずさり






小会議室でデザイン画を見てもらうことに
「いいじゃん、なんか可愛いだけじゃなくて」
ニヤニヤと私を見つめる

「え、なんですか?」
「男できた?」

えーーーーーー!



「いませんよ!!」
私が男性苦手なの知ってるくせに!
「ほんとか~?怪しいな」


デザイン画を眺めて
私に言った

「今のアンタのデザインの方が好きよ」

ほら見て?って指差す
「こことか、こことか、
彼氏に可愛く見られたいって気持ちが出てる」
「気づかなかった……」
そんな所まで気を使って描いてたんだ

「いいんじゃない?今のアンタ」


「そういえばマキ子さん結婚して
何年になります?」
「12年、子供も小2になって生意気」

「でね、旦那がさ……笑っちゃうでしょ……」

愚痴なのか惚気なのか
なんだかんだ幸せそうに話してる

羨ましい

「そうだ、今度のショーに出す新作デザイン
とか、企画に関わる?」
「本当ですか?やりたいです!」

3年に1回のランジェリーコレクションショー

日本の有名ブランド
私の母の HKLove 他4社のランジェリーブランド

母はこのショーをとても大切にしていて
会社の規模は1番小さいのに
話題や人気をすべて独占

ずっと見てるだけだった
ずっと関わりたかった

母の仕事のやり方を間近で学びたかった

邪念だらけの今、
仕事に集中して全てリセットしたかったのもある

とにかく、やりたい

今回、リーダーがマキ子さんで
こう言ってくれた

「やらせてください」
「忙しいからね」
「覚悟できてます」

毎回ショーの近くは
母は家に帰ってこなかった
元々親子らしい時間なんて……

「じゃあ詳しいことはまた」



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