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「怖いんだね。やくざって…」


私は小さな声で言った。


「大丈夫。普通に生活してたら会う機会なんてないから。それに被害にあった子も死因は薬物の過剰接種らしいわ。お察しよね」


お母さんはこんな怖い情報をどこから仕入れてくるんだろうか？


まだ私の知らないことはたくさんある。


「じゃあ、いってくるから」


お母さんはそう言うと玄関のドアに手をかけた。


「気をつけてね。お母さん。あんまり遅くならないようにね」


「はいはい、葵も戸締まりね」ｶﾞﾁｬ


お母さんはもう一度私に釘を刺した。


「・・あっ、そうそう」


「・・？」


お母さんは出かける直前に何かを思い出したかのように言った。


「沖田君って同じクラスにいる？」


「えっ…！」


お母さんの口から唐突に沖田君の名前が出た。


「いるけど・・どえ、じゃなくて、沖田君がどうかしたの？」