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原稿用紙でラブレター

第4章 超完璧溺愛主義






ドアの前に立ったままのその顔は、俺のイライラした心情を逆撫でするかのように緩まっている。


「なんなんだよ…何がおかしいんだよっ!」

「え?だって…何で翔がここに居んのかなって思って」


口角を上げたままゆらりと動き出すと、縒れたスーツの襟を正しながら近付いてきて。


「勝手に来ちゃダメでしょ?ここ男子校だよ?」

「…は?」

「翔みたいな可愛い子、すぐ目付けられちゃうじゃん」


口角は上がったまま、急に鋭くなった眼差しから目が離せない。


気付けば、傍の書架に追い詰められていた。


「…分かってる?」

「な、に…」


至近距離で囁かれたと思ったら、急に噛み付くようなキスに襲われて。



なっ…!?



体は完全に背後の書架に押さえつけられ、身動きを取ろうにも全く動けない。


まるで縫い付けられたように、松潤の手によって指一本も動かせなくて。


手加減無しでどんどん激しくなるキスに思考まで止められそうになる。



なにっ、考えてんだよっ…!


俺のことっ…なんだと思って…



必死に顔を振ってようやく唇から逃れ、逸らした顔を再び向けて思いのままに叫んだ。


「なんっなんだよっ!もう分かんねぇよ俺っ…
俺のことっ、ほんとにっ…!」



ほんとに…


好きなのかよっ…!!



「あーあ…ごめん、またやっちゃった」


ぽつりそう聞こえた瞬間、捉え続けていた眼差しがふっと弱まり。


いつもの俺を見る優しいそれに変わったのが分かった。


「…翔があんまり可愛いからさ、ついスイッチ入っちゃうんだよね」


そう言うと俺を押さえていた体が少し離される。


「ねぇ…何を訊こうとしたの?」

「はっ?いや…」

「俺のこと、なに?」


今度はさっきと打って変わって誘うような瞳を向けてくる。


その熱い眼差しに不覚にも胸がきゅっと締め付けられて。


「言ってごらん?」

「……るせぇ、」

「翔?」

「っ……ぉ、俺の…」

「うん?」

「俺のことっ、ちゃんと…好き、なのかよっ…」


近付いてくる整った顔に視線を合わせられず顔を逸らすと。



「…好きに決まってんじゃん。
好き過ぎて…おかしくなりそうなのに」



やけに色香を帯びた声でそう囁いた松潤に顔を向ければ、熱っぽく雄々しい視線と絡み合った。

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