テキストサイズ

Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第13章 遺された・・・意味

『おばさん・・・あの

カンナの部屋って・・・』




『?えぇ、もちろん…良いわよ』



察するように、お母さんが
オレを2階の部屋に連れて行ってくれた



ガチャ・・・





『どうぞ~・・・まだ、全然

片付いてなくてねぇ・・・~ふふ

まったく、時間だけは…容赦なく

過ぎていっちゃうものだからね』




少し笑いながらも…切なそうに

目を細めながら言うお母さんを見て



【時間だけは過ぎていく】

さりげなく放たれたその言葉


オレも感じている

その言葉に



片付ける暇がない…とは言っていても


きっと…本当は


∥片付けられない∥んだろう



そんな事を思った。





カンナの両親の言葉や…その姿に


オレには、どれだけ

この人たちの【心の時計】が

止まったままなのかが



胸をえぐられるほど、強く

痛く・・・伝わってきた。






『ほとんどの物は…カンナのお友達が

みんな…∥形見分け∥に

持って行ってくれたんだけどね』




『???』




『もしも…∥なにか∥あれば…

良ければ…ケイゴくんも・・・ね』




お母さんが控えめに微笑む




『ぇ・・・あ、いや…おばさん

オレ・・・そんなんじゃ、なくて…~』



少し誤解を与えてしまった



そう思いながらも、ふと部屋を見渡すと

確かに…机や、棚

表に見える物だけでも

随分と殺風景になっていた




信頼…人望が厚くて

友達も多かったカンナ。







『~とにかく、ゆっくりしていって

お茶、持ってくるからね』



お母さんは、そう言って

部屋を出ていった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ