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『何・・・言ってんだよ？』




さすがにボクでも怒ろうかな？

なんて…一瞬アタマに血が

昇りかけたんだ


ついにヤケになったのか、と





『・・・普通さ、誰だって

どんなにやり直したくても

例え・・・やり直しても

それでも・・・さ

どんなに・・・頑張っても

どれだけ・・・戻りたくても

時間だけは…戻せないから』





『？？？』






『それが・・・今、アイツには

・・・・・・

アイルの中では・・・戻ってるんだろ？』





『・・・？？』






『それなら・・・その方がいい』




ボクには弟の考えてる事が…なにひとつ

さっぱり読み取れなかった





『・・・そういう訳にはいかないだろ？』




ごくありふれた

当たり前の言葉を返す






『・・・いいんだよ。

１７歳のアイツに…これから・・・

その先に…起こる・・・辛いことが

それが…起こらない

それを・・・知らない

∥新しい人生∥になるなら

その方がアイツが…幸せだと思うから』





『・・・』



記憶を…消してあげたい



本人の言葉ではなく…周りが

そう思う程の辛い出来事って

なかったことにしたい人生って

一体どれ程のものだろう



ボクには想像もつかなかった






『・・・でも、それじゃリョウキ

お前とのことも・・・全部』






『いいんだ。

・・・アイルが本来の

明るい人生を取り戻した…って

やり直した…って

そう思えば・・・

・・・・・・

オレとのことを・・・忘れても』






弟は…この上なく寂しそうに


それでいて

オレが見たこともないほど

穏やかな顔で笑った