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『・・・は、なして…』



『・・・ちょっと、落ち着こうよ？』




『わたし…落ち着いてます』




少しパニックを起こしかけている彼女の手を

リョウキがさりげに握って

チラリとボクに目配せする




『アイルちゃん・・・♪

よく頑張ったね。今日はもう戻ろう？』





『ぁ・・・。・・・

ぁ～…・・・あ～・・・…っ』




アイルちゃんは声をあげながら

リョウキの手を

振りほどこうとして体をよじる





『・・・やだ・・・わからなくなちゃう』




アイルちゃんは涙を浮かべて

もう片方の手で頭を抱える




『・・・兄貴…』




『・・・はなすな

とりあえず。はなすな絶対。

転んだら大変だ』



ボクはリョウキに強く言うと

看護師に連絡して病室に待機してもらった





『・・・兄貴？』



リョウキは彼女を押さえながら

ボクに確める


『・・・うん』



ボクの返事を待って

リョウキはアイルちゃんを抱き上げた





『やだ・・・歩ける…っ』




『今日はちょっと…我慢しよう？

せっかく良くなって来たんでしょう…？』





『いやだ・・・おろして…っ』





『ダメ。・・・我慢して』





リョウキは心を鬼にするかのように

泣きじゃくる彼女を抱えて病室まで走った