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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第18章 弟の・・・覚悟

翌日、ナースステーションで

なにやらざわざわしているリョウキ



ボクと間違えられてる?(笑)


今更それはないか♪





『・・・アイルがいないんだよ』



一見、冷静を装ってるけど

その目がひどく慌てていた




一般的に見たらボクのが職業病と言うか

変なのかもしれないけど



まったく動けないわけじゃないし

自力で動き回ってもおかしくないだろ



よくは知らないが

なんらかのトラウマになってるの

むしろお前の方じゃないの?



・・・なんて


弟に言いそうになったけど、やめた。




『がんばり屋さんだからな♪

歩きにでも出たんじゃないの?』




ボクは狼狽えるリョウキを連れて

思い当たる所を回った





ほらほら・・・いたいた♪






『アイルちゃん・・・♪』


アイルちゃんは中庭で

松葉杖を持って歩く練習をしていた



『・・・ホッ』


リョウキの安堵の声がもれる





『せ・・・先生

私…ちゃんと歩けるよ』




『・・・うん♪…良い調子だね』




『・・・だから、わたし

早く退院したい・・・

うちに・・・帰りたい』





『・・・(苦笑)』



その帰る家は

どこだと思ってるんだろうか


言葉に困ってしまう。




そこへ



『杖・・・持ち方、危ないよ』



リョウキが歩み寄って

そっと彼女の体を支えた




『ぁ・・・す…すみません』




『慌てるな、ってさ・・・』



リョウキの見下ろすアイルちゃんの脚は

ガクガクと…震えていた




『・・・車椅子、持って来ようか?』




『ぃや…だ。歩ける・・・から』




アイルちゃんが小さくリョウキに抵抗して

向きを変えようとした時





カラン・・・っ



バランスを崩したアイルちゃんの手から

杖が抜け落ちた





『・・・っ…危な…』



リョウキが咄嗟に手を伸ばして

彼女を抱えて支える

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