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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第20章 あの夏の・・・約束

『あぁ、そうだ…今日はご家族・・・

ご主人も同席でと、ご希望でしたね?』



ボクは慌ててカルテを確認する



『ぁ・・・はい、でも良いんです

遅れてるみたいなので(苦笑)

後で私が話しますから』





『向かわれてるなら、少し待ちましょう?』




『えっ?…ややや・・・いいですよ?!

本当に…大丈夫ですから先生』





『・・・だって、これまで

随分と…長いこと治療なさって

今日までいらしたんでしょう?』




『~~・・・はぃ』



カルテを確認しながら

ボクは自分が担当につく以前の記録も遡って

患者の通院歴を見る


この患者は、長い期間の治療と通院を

今まさに終えようとしている人。




『それじゃ、状態診ていきましょうね』




『・・・はい』



・・・

・・・・・・


遠慮がちな患者の気を紛らわしながら

ボクは先に診察して家族の到着までの

時間稼ぎをする





『前任の浦田先生にも…
とても良くして頂きましたけど

滝川先生には…これまで本当にお世話に

いつもお話もわかりやくすて
定期検診の度にホッとしていました

先生のお顔見ると…なんか安心するんです』





『ふふ・・・そうですか?』



柄にもなく…照れちゃうじゃないか





『本当に…今でも信じられない

私、こうして生活してるのが…本当に

夢みたいって…未だに思いますから』




『・・・』




『・・・私、昔

もう歩くのは無理だって言われたんです』





『・・・よく、頑張りましたね』






『・・・先生?』





『♪・・・はい、問題ありませんよ』





『・・・先生…っ・・・ほんと…ですかっ』



診察を終えて、その結果を伝えると

遠慮がちだったその表情はついに

ブワッと…涙を溢して

笑顔になっていた

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