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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第20章 あの夏の・・・約束

無邪気に喋っている彼女の言葉が

ほとんど耳に入らないまま

ボクは脳内が忙しかった



だって、あまりに思いがけない

偶然の…突然の出来事だったから




ところで・・・えぇと


∥どっち∥だ?



ミニ姉妹・・・元ミニ姉妹


今…受験生?…高校生ってことは



ええと・・・上の子・・・?



いや・・・ちがう



下の子だ・・・。



あのちっこくて…だだっ子で

泣き虫だった・・・あの子だ。





『・・・クス』




なんとも言えない

年月の流れと…不思議な廻り合わせに

ボクは含み笑いして

そのこみ上げる感情を押し込めた




『・・・ぇ?』




『クスクス・・・ぁ、いや…ごめん

なんでもない・・・~キミは医者になるの?』




ボクの突発的なとりとめのない質問に

無邪気な顔が…一瞬、キリッと変わる




『・・・お姉ちゃんが

生きられなかった未来を・・・

生きるんです・・・』





『・・・ぇ』




その雰囲気の変わり様に

ドキッとしながらも

その言葉に

ボクの直感は…改めて確信へと変わる





『ぁ・・・私…姉を病気で亡くしていて』







『そう・・・なんだ』







『だから・・・私は生きて

お姉ちゃんと同じ病気で苦しい思いをする人を

絶対に…助けてあげたいんです』





『・・・』


今時…こんな力強く真っ直ぐな目をして

こんな事を言う子がいるなんてね



そしてボク自身



こんな純粋な動機を

生で聞いたのは初めてだった

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