
ねぇもう嫌・・・
第14章 先生と
診察室の引き戸を恐る恐る開け、俯いたまま足を踏み入れた。
「陽菜ちゃんっ。」
聞いたことのある声。
思わず見上げると、先生が背中に両手を回して立っていた。
「電話ありがとね。都合が合って良かったー。」
先生は気持ちの良い笑顔を浮かべた。
私があの電話で伝えたのは、次の検査の時付き添ってほしいってことだった。
先生はすぐ快諾してくれた。
今日ならやり遂げられるかもしれない。
微かな希望が、先生の瞳に映った気がした。
すると柊先生がくるりと向きを変え、カルテに何かを入力し始めた。
