
ねぇもう嫌・・・
第4章 検査①
広い部屋の中央に機能性を重視したベッド。
奥の方で数人の看護師が待機しているのが見えた。
「っ…」
初めて目にする光景。
一気に目頭が熱くなる。
瞬きをしたら涙が零れそうだ…。
「痛いことはしないから、大丈夫だよ。」
先生は、とりとめのない昨日の会話にやんわりと触れた。
下半身の一切を脱衣し、台に仰向けに寝る。との指示。
私はその場で立ち尽くし、暫く抗った。
「陽菜ちゃん、どうしても嫌?」
見兼ねた先生が言う。
目頭に溜まる涙を袖で拭いながら頷いた。
「じゃあ…、スカートだけでもいいから。頑張ろう。」
突然検査が中止になるはずもなく、やらなければ帰れない現実に、妥協するしかない。
スカートだけ…
指示された通りに脱いだ後の下着姿は、やはり恥ずかしかった。
細い手ではどこも完全に隠すことはできず、指先の温度は緊張によって低下していった。
先生が「こっちが頭ね」と仰ぐ。
言われるがままに横になると、目のやり場が分からなくなる程心が押し潰されそうになった。
唇をぐっと噤む。
途端に険しくなる現場の雰囲気に、患者である私は身を任せるしかない。
そう大きくないクリニックの検査室
先生は医師として一段と力が入っているように感じた。
