
ねぇもう嫌・・・
第15章 エコー
その後2,3分で脇腹のエコーが終わった。
機械が離れて、看護師にゼリーを拭き取られると、ゆっくりと目を開けた。
まだぼんやりとする視界。
柊先生の白衣はとっくに離れて、"安心"そのものが消えた。
「陽菜ちゃん、あと下もエコーするから…これは仰向けじゃなきゃ駄目だから、いいかな?」
「っ…」
ほんの少し首を横に振った。
「…駄目?」
「…」
心の中で、絶対逃げるって誓った。
「すぐだからさっ。いい?柊先生もエコーの準備終わったしっ。」
「っ」
また首を横に振った。
だけど…
『いいって。仰向けで固定して。』
柊先生に割り込まれた。
よくないよ…っ
駄目だよ…
ほんとに限界…っ
「じゃあ陽菜ちゃん仰向けになろっか。…よいしょっと」
「っ」
…まってっ…!
横から、ベルトが出てきたんだけど…っ
「らめっ…っ」
力が抜けて、"だ"が言えなかった。
初めて声を出して拒んでも、力のない声は届かない。
あっという間に、胴体二つと、足一つ、ベルトが覆った…
