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ねぇもう嫌・・・

第18章 診察



「そっか…。」




佐藤先生が吐息混じりでそう応えると、柊先生が"あぁ"と声を出した。




『すみません。これから診察があるのでこれで失礼します。佐藤先生、後でカルテ見せて下さい。』




突然動き出した柊先生に、私は驚きの目を向ける。




「柊先生ッ、わざわざありがとうございました。」




佐藤先生が礼を告げると、柊先生がチラリとこちらを見た。




「…っ」




柊先生が抜けた後も、問診は続行された。




「痛みはどんな感じ?」




「…」




「…って言っても、説明しづらいか。」




私は何も言葉を発さないまま。




平穏と思わしき静寂が、不安を緩やかにつくる。




しかし、時間が経つにつれて不思議と喉元のつかえが消えていくような心地がした。




「…これから僕が質問をしていくから、頷くか首振るかして?」




「…っ」




俯いたまま少しだけ頭を揺らすと、佐藤先生が優しく相槌を打ってくれた。




「誘導尋問みたいになっちゃうけど、ひなちゃんがコレは違うって思ったら、ちゃんと否定してね。」




「…はい。」




「うんっ。じゃあまず、身体が汗ばむくらい痛い?」




「っ」




「そこまでじゃないんだね。…じゃあ次は…」




佐藤先生の問診は長く続いた。




中には答えづらいものもあって、佐藤先生はそれを察してくれた。




「…うん、ありがとう。我慢出来るような痛みなんだろうけど、でも1週間続くのは少し気になるね。」




佐藤先生はそう言いながら、パソコンにカチャカチャと打ち込んだ。




少し見上げて画面を見ると、私の名前が右上に書いてあって、レントゲン写真や医師の見解など、色んなものが映し出されていた。




「…っ」




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